ベルベットはパイル(毛並み)があって、縫製がむずかしい。
その通りだと思います。
パイルはデリケートですし、縫いズレしやすい上に、縫い合わせのちょっとしたズレも目立ちます。
でも、いくつかのルールをまもれば、「家庭用ミシンでも縫える布地」です。
特に発色、風合いのやさしいコットンベルベットは、ちょっとしたハレの日からフォーマルまで
幅広くおつかい頂ける布地。
「むずかしそうだから。。。」と、敬遠しておくのはもったいないです。
完成をイメージしながら、ゆっくり、じっくり、ていねいに
時間をかけて、「わざわざつくる価値がある」布地だと思います。
ぜひ、チャレンジして頂きたい。
そう思って、デザインから裁断、縫製、お手入れまで、ベルベットつかいかたをまとめました。
①デザインのルール「極力シンプルに」
・ベルベットは表情豊かで、存在感のある布地。シンプルなデザインの方が仕立て映えします
・縫い合わせのちょっとしたズレも目立ちやすいので、切替も少ない方がベターです
②地直しのルール「スチームアイロンの浮かしがけで」
・ベルベットは水通しNG
・地直しはスチームアイロンを浮かしがけすると、歪み・シワはおさまります
・ベルベット専用のアイロン台(=ピンボード)は高価。アイロンは、共布をアイロン台におき、さらに共布を当て布にして、共布で挟むようにしてかけると、毛足がつぶれにくいです
・弱いシワは湿度の高いところ(=浴室など)にひと晩ハンガーがけでOK
③裁断のルール「わにして、逆毛裁ち」
・裁断は外表の「わ」裁ちにするとズレにくいです
・裁断の方向は、なで毛方向を上にする「逆毛裁ち」が基本です(下図参照)
④縫製のルール「ウォーキングフットをつかって、しっかりしつけ&低速で、なで毛方向に」
・ベルベットはミシンのおさえの圧力でずれたり、小じわが入ってしまいます
・おさえの圧力はできるだけ軽めに が基本ですが、専用のおさえ「ウォーキングフット」をつかうことをおすすめします
・ズレやすいといっても、しつけ糸をつかって、ふだんの2倍しつけすれば(云うほど)ズレません
・ミシンは「なで毛方向に」かけるようにすると、ズレにくいです
⑤お手入れのルール「ブラッシングとハンギング」
・基本はドライクリーニングですが 、ふだんのお手入れは連続着用を避け、着用後はやわらかいブラシで、毛足を揃えます
・クローゼットにいれる際は、ハンガーはできるだけしっかり厚みのあるものをつかって、間隔をあけてかけます