「今日の夜、ヒマ?」
「ヒマじゃないけど。。。ブログ書いたり、ムービーつくったりしたいし。。。」
「じゃあ、大丈夫ってことで、いいね」
「おっ、おう。。。」
シャツからの連絡はいつも突然だ。
ただ、すこしぐらい強引に誘ってもらえる方が失敗したって僕だけの責任でなくなるから
気が楽といえばそうかもしれない。
「で、なんだよ!突然。ブログ書きたいんだよ。」(と、僕は袖下から縫いはじめる)
「いや、1週間に一回ぐらい会って馬鹿話のひとつ、ふたつするのもいいなぁと思ってさっ。。。」(続いて、脇を縫う)
「年末だから忙しいだろうなぁぐらい気をつかう気ははないの?」
(と、すこし不機嫌なそぶりを見せながら縫い代の片側を切り落とし、折伏せ縫いの準備を進める)
「気をつかう気ってダジャレ?」(と、シャツはおどけてみせる)
「月に1回ぐらいなら、付き合うけど、週一ってちょっと頻度高くないか?」
(と、縫いズレしにくいようにカフスは接着芯が貼ってある面を上にしてまち針を刺す)
「月1?寂しいこと言うなよぉ!せめて月に2だな」
(と、シャツの「もうこれからは一歩もゆずらないぞ」という顔を横目に、表側からカフスを袖に縫い付けた後、返して内側からしつける)
「わかったよ、月2ね、月2。」と、渋々顔で了承すると、「じゃあ、来週は空いてる日は?」とシャツ。
「だからそれって、週1だよね。。。」
「そうか、でも年末だからいいじゃん」
「はいはい、わかりました。じゃあ、来週もね。。。」
つづく。