最近は結婚式のスタイルも、ホテル、結婚式場で行われるものから、レストランウェディングやパーティー形式のカジュアルなものまで様々。お呼ばれのシーンの装いについて、自由度が高まりました。
が、それゆえ、「何を着れば良いの?」と、お悩みの方も多いのではないのでしょうか。
そこで今回は、「大人のお呼ばれ」をテーマに、ワンピースを2点ご紹介したいと思います。
まず、デザインですが、これはシンプルなもの、これに尽きます。
そして、途中切り返しがあるデザインであっても、布地を組みあわせて使うのは、難易度がぐーんと上がってしまうので、製作にあたっては単一の布地でつくられることをおすすめ致します。
つぎに、布地はコットンやリネンの天然繊維は、カジュアルな素材ですので、基本的には避けられた方が無難です。ウール、シルク、化学繊維がメインの布地で、ツヤ、光沢のあるものが適しています。
色柄については、本当にお好みですが、「気後れしない」「格式ある場からカジュアルな場まで、シーンを選ばない」ということであれば、ブラック、ネイビー、グレーであれば、まずハズしません。また、ダークトーンの(黒みがかった)ゴールドやシルバーは華やかさがありながら、主役とバッティングせず、シーンに違和感なく溶け込めるカラーです。
それでは、ご提案の1点目。
ビスコース&ナイロン混のサージストレッチをつかったAラインワンピースです。
リトルブラックドレスのスタイルは、「究極のワンピース」ともいえるもの。
ストイックな雰囲気に、なめらかな光沢としなやかなドレープが実によく映えます。
シンプルなデザインは、パンプス、バッグ、ネックレスのコーディネートもしやすいと思います。
続いて、ご提案の2点目。
シルク&コットンのジャガードをつかったAラインワンピース。
透け感と光沢のあるシルバーのオーガンジーに、動きのあるブラックのボーダージャガードが織り込まれた布地はシックな華やかさがあり、カッコイイ大人のワンピースにぴったりです。
※画像にパープル、グリーンのフリンジ(にじみ)がみえますが、布地のカラーはオキシタイズド・シルバー(黒みがかった、いぶし銀)です。カメラのレンズをもう少し絞れば、改善されたのかもしれません。修行します。
※パープルフリンジ(ウィキペディア)
今回は、「大人のお呼ばれの装い」について、いろいろと書き連ねてきましたが、大切なのは、「お呼ばれした【場】への気配り」ではないかと。その場への敬意と祝福をこめて、ご自身で布地を選び、つくった服でその想いを伝えられるならば、それはとても素敵なことではないかと思います。
ご紹介した布地はデリケートなところがあり、カジュアルな素材に比べれば、取り扱いと縫製はより丁寧さが求められます。ただ、シンプルなデザインですから、ふだんより早めに取りかかり、ゆっくり根気よくつくれば、格別の1着になると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。
それでは、製作のまとめです。
作例1)ビスコース&ナイロン混のサージストレッチをつかったAラインワンピース
<材料>9号サイズ
ビスコース&ナイロン混×無地(ブラック)×サージストレッチ_イタリア製(@2370×1.4m=3318yen)
そのほかの材料)
裏地_ベンベルグ(ブラック)_普通地・中厚地用_全5色(@970×1.0m=970yen)
アピコ接着芯(薄地)_ナイロン(ブラック)_ウール素材の全面接着等に_全2色(@790×0.5m=395yen)
コンシールファスナー 65cm×1本
スプリングホック 1組
※用尺について
9号サイズの用尺=1.4mは差し込み裁断した場合の用尺です。
差し込み裁断=前・後ろ身頃の上下を逆に差し込む形での裁断
そのほかのサイズの差し込み裁断した場合の用尺=7号サイズ(1.4m)、11号サイズ(1.4m)、13号サイズ(1.5m)
<パターン>
オリジナルパターン#011_ノースリーブワンピース_9号
<つくりかたのポイント>
・衿ぐり、袖ぐりのラインを整えるため、10mm幅の接着芯を出来上がり線に沿って、身頃側に貼っています
・ふっくらとやわらかなサージの風合いを損なわないよう、衿ぐり、袖ぐりは星止め、裾は奥まつりの手縫いで仕上げています
・ミシン針は針先の整ったもの(あたらしいもの)を使うと、つりにくいです
・縫い合わせた後のアイロン掛けは、アイロンの先の部分だけを使い、縫い代のアタリが出ないように、部分的にかけます(テカリも出やすいので、かならず当て布を)
<製作時間の目安>
8時間
作例2)シルク&コットンのジャガードをつかったAラインワンピース
<材料>9号サイズ
シルク&コットン×ボーダー(オキシダイズド・シルバー&ブラック)×ジャガード(@1830×2.2m=4026yen)
そのほかの材料)
裏地_ベンベルグ(シルバーグレー)_普通地・中厚地用_全5色(@970×1.1m=1067yen)
15mm幅伸び止めテープ 2.8m(ファスナー付け位置、衿ぐり、袖ぐり部分)
5mm幅伸び止めテープ 1.6m(衿ぐり、袖ぐり部分)
コンシールファスナー 65cm×1本
スプリングホック 1組
<パターン>
オリジナルパターン#011_ノースリーブワンピース_9号
<つくりかたのポイント>
・表地が薄地で、身返しをつけると表から、透けて見えてしまうので、身返しをつけずに、表身頃、後ろ身頃と同形の裏地をつけています(下画像参照)
・表身頃の衿ぐり、袖ぐりを補強するため、端から15mm幅の伸び止めテープを貼った後、その上から5mm幅の伸び止めテープを出来上がり線に沿って貼っています
・衿ぐり、袖ぐりは星止め、裾は奥まつりの手縫いで仕上げています
※身返しをつけずに、表身頃、後ろ身頃と同形の裏地をつけるの図
通常の裏地付け(身返しの端から裏地)
表地が薄地の場合は身返しが透けて見えるので、身返しをつけずに、身頃と同じ形の裏地をつけます
<製作時間の目安>
8時間
裏地の付け方については、FAB #114 ジャガードのノースリーブワンピース(+裏地のつけ方講座)で詳しく解説しています。ご参考に。